急性 大動脈 解離 と は。 突然発生する急性大動脈解離、救命は時間との闘い:トピックス:日経Gooday(グッデイ)

急性大動脈解離の原因と症状―激しい背中の痛みや吐き気が特徴

急性 大動脈 解離 と は

突然背中や胸に激しい痛みが発生するは、発症後数時間以内に病院で治療を受けなければ命に危険が及ぶ疾患です。 と違って病気の発生個所が広範囲に渡り、痛みの位置も変化していくという特徴があります。 ショック死してしまうことも少なくないため、特徴的な痛みの症状が現れた場合は直ちに救急車を呼ぶことが重要です。 急性大動脈解離の原因と症状について、熊本大学病院心臓血管外科教授の福井寿啓先生にお話しいただきました。 急性大動脈解離とは? 大動脈の血管の内膜・外膜が裂ける病気 動脈解離とは、血液の通り道である血管の壁(血管壁)に血液が流れこみ、内膜にが入ることで、血管の内膜と外膜が裂けていく病気です。 突然解離が起こる急性動脈解離と、徐々に解離が進行する慢性動脈解離がありますが、解離は基本的に急激に発症し、解離の範囲はその時点でほぼ確定します。 そのため、急性と慢性の定義は解離が発症してからの経過日数で分類されます。 急性は2週間以内、慢性は2週間以降のものをいいます。 は非常に激しい痛みを伴い、重症の場合は直ちに治療介入を行わなければ死亡する危険性が高く、急性動脈解離のなかでも最も注意すべき種類の解離です。 急性大動脈解離と大動脈瘤の違いは? とは共に大動脈に発生しますが、これらは別の疾患であり、それぞれ症状や病態が異なります。 大動脈瘤は動脈硬化で発生し、血管壁が弱くなって動脈が拡大する 大動脈瘤は主に(動脈が硬く・脆くなること)が原因で発症する病気です。 動脈硬化によって動脈壁が弱くなっている部分に血流の圧力(血圧)が加わると、血管が外側に向かって瘤(こぶ)のように膨らんで拡大し、血管の壁が薄くなります。 基本的には局所的に発生するため、どの部分に大動脈瘤が生じているのかを指摘できることが特徴です。 この瘤(こぶ)が破裂した場合、動脈壁が割れて血液が血管外に流れ出ます。 大動脈瘤が発生しただけであれば多くの場合は無症状ですが、瘤(こぶ)が破裂すると激烈な痛みが現れます。 大動脈解離は全身の血管が裂け広範囲に及ぶ 一方で大動脈解離の場合、内膜のを始点に全身の血管が裂けていくため、発生個所が広範囲に及びます。 急性大動脈解離では解離が発症した際に激しい痛みが現れ、血管が裂けている箇所に応じて痛みの位置も変化していきます。 その痛みは想像を絶するほど強く、意識を失うか、ひどい場合はショック死してしまう患者さんも少なくありません。 先ほどご説明した大動脈瘤は、動脈硬化が原因でしたが、この大動脈瘤と混同されがちなものに解離性大動脈瘤があります。 慢性大動脈解離の場合、弱くなった血管壁の内膜が裂けて外膜から外れ、薄くなった血管の外膜が血圧によって徐々に拡大してきます。 血管の一部が解離によって拡大し、瘤状になった状態を解離性大動脈瘤と呼び、瘤が5㎝以上になると破裂する危険があります。 このように、解離性大動脈瘤は一般的な大動脈瘤と違い、解離によって発生した大動脈瘤の拡大が慢性期に発生してくることが特徴です。 動脈硬化によって発生する通常の大動脈瘤と混同されてしまいがちですが、そのメカニズムは大きく異なります。 急性大動脈解離は命にかかわる病気の原因となる では、解離した血管が裂けて胃や腸、肝臓、膵臓、脳など内臓に向かう血流が途絶されたり血が通いにくくなったりすることで、血液が十分に供給されず、酸素不足になった結果、臓器障害が起こる場合があります。 臓器障害は、急性大動脈解離の患者さんのおよそ1割にみられる症状で、すべての患者さんが発症するものではありませんが、臓器障害をきたすと命に危険が及ぶので注意が必要です。 心タンポナーデや心筋梗塞、脳梗塞など臓器障害に注意が必要 急性大動脈解離における臓器障害として、第一に注意すべきは心疾患です。 具体的には、や、(心臓の周りに血が溜まって心臓を圧迫する病気)などが挙げられます。 その他、左右の頸動脈が解離した場合はなどの脳血管疾患、腹部内臓の血管が解離した場合は肝臓や腎臓、腸の虚血・壊死が起こったり、脊髄への血流が途絶して下半身麻痺が生じたり、手足の血流が悪くなって動かなくなったりすることもあります。 このように、急性大動脈解離は全身に影響を及ぼす危険性をはらんだ疾患ということができます。 急性大動脈解離の分類、A型とB型 は、解離の発生した場所によってA型とB型に分類されます。 A型 上行大動脈が解離しているタイプの急性大動脈解離です。 急性大動脈解離のなかでも重症度(死亡する危険性)が高く、発症した場合は緊急手術が必要になります。 B型 上行大動脈が解離していないタイプの急性大動脈解離で、比較的重症度が低く、内科的アプローチによって治療できる可能性があります。 ただしB型の場合でも臓器障害を起こしており、末梢への血流が途絶えていたり、脈が触れない場合は手術が必要です。 急性大動脈解離の症状の特徴 激しい痛みと吐き気が代表的な自覚症状 の最大の症状は「痛み」で、発症した直後から胸や背中を中心に非常に激しい痛みが起こります。 あまりの痛さに意識を失ったり、ショック死したりするケースもあります。 先述の通り、急性大動脈解離では血管が裂けている地点を中心に痛みが発生し、胸から背中にかけて、裂けた部分と一致して痛みが続いていきます。 ですから、痛みの箇所も解離の進行に伴い変化することが特徴です。 また、重症度および死亡の危険性も型(A型・B型)によって異なりますが、痛みの度合いはどちらの型も同じ程度だといわれています。 急性大動脈解離に前兆の症状はあるのか の場合、特別前兆と呼べるような症状はありません。 患者さんによっては発症の数日前から数回胸痛が起こったという方もおられますが、この場合は最初に胸痛が自覚できたときから既に急性大動脈解離が発症していて、進行するにつれて痛みが分散していった可能性が考えられます。 翌日になっても胸痛が治まらない場合は、数日かけて大動脈解離が進行している可能性もあるので注意が必要です。 急性大動脈解離の原因とリスク因子 喫煙、飲酒、高血圧などは急性大動脈解離に関係がある は血管内膜の障害で起こる病気ですから、血管内膜にが入りやすい状態の方は急性大動脈解離を発症するリスクが高いと考えられます。 たとえば、、過度のストレスなどは血管を障害する要因であり、大動脈解離の発症リスクになりうると考えられています。 また、一部のには遺伝が関与しているなど遺伝的な要因もリスクとして指摘されているものの、遺伝的要素の有無にかかわらず、高血圧の発症にはが最も深く関係します。 ですから急性大動脈解離を予防するためには、喫煙や飲酒を含め、生活習慣を整えておくことが大事です。 急性大動脈解離の発症年齢は60~70代に多いものの、生活習慣病は30代頃から増えてくるため、特にご両親が高血圧症である方の場合は、たとえ現在血圧が高くないとしても注意が必要で、年齢が若いうちから意識的に減塩・・節酒を心掛け、ストレスをためこまないようにしてください。 日常的に生活習慣病を予防することで、急性大動脈解離の発症リスクを軽減できる可能性があります。 熊本大学病院• 内科 血液内科 リウマチ科 外科 精神科 神経内科 脳神経外科 呼吸器外科 消化器外科 腎臓内科 心臓血管外科 小児科 小児外科 整形外科 形成外科 皮膚科 泌尿器科 産科 婦人科 産婦人科 眼科 耳鼻咽喉科 リハビリテーション科 放射線科 歯科口腔外科 麻酔科 乳腺外科 呼吸器内科 循環器内科 消化器内科 糖尿病内科 内分泌内科 代謝内科 膠原病内科 脳神経内科 内分泌外科 放射線治療科 頭頸部外科 精神神経科 総合診療科 病理診断科• 熊本県熊本市中央区本荘1丁目1-1• 熊本市電A系統「九品寺交差点駅」 徒歩9分 JR鹿児島本線 博多~八代 「熊本駅」 車8分• 096-344-2111.

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大動脈解離

急性 大動脈 解離 と は

大動脈解離とはどんな病気? 大動脈解離とは、大動脈の血管壁になんらかの理由で亀裂が入り、そこから血管壁の中に血液が流れ込んで、本来の血液の流れ道とは別の、もうひとつの流れ道ができた状態です。 この血管壁の裂けた状態を「解離」と呼びます。 大動脈の血管壁は、内膜・中膜・外膜の三層構造になっています。 血液の流れる側が内膜、外側が外膜、内膜と外膜の間にあるのが中膜です。 内膜が裂けると、その裂け目から血液が中膜に流れ込み、中膜が膨らみます。 この膨らみを「偽腔[ぎくう]」(解離腔)と言い、本来の血液の通り道を「真腔」と言います (図1)。 図1 偽腔の外側には外膜しかないので、血圧に負けて外膜が破れ、血管の外に出血したら、致命的な事態を招くことになります。 偽腔は、血流の強い圧力に押され、血液の流れる方向に沿って、ある一定の長さに伸びてゆきます(つまり、解離が広がってゆきます)。 偽腔を流れる血液は、流入した裂け目とは別の内膜の裂け目から、再び真腔に戻ります。 真腔から偽腔への血液の入り口を「エントリー(流入口)」、偽腔から真腔への血液の戻り口を「リエントリー(流出口)」と呼びます。 真腔と偽腔を隔てる血管壁(内膜・中膜)を「フラップ」と呼びます。 偽腔の種類 偽腔には3つのタイプがあります (図2)。 図2 【偽腔開存型】 エントリーから流入した血液がリエントリーから流出しているタイプで、偽腔の中に血流がある状態です。 【ULP型】 エントリーから偽腔に突出する血流(これをULPと呼びます)は確認できるけれども、流入した血液はリエントリーから流出せず、ほとんどが血栓(血の塊)となっているタイプです。 【偽腔血栓閉塞型】 偽腔が血栓で完全に塞がっていて、血流がないタイプです。 偽腔がもたらす血流障害 偽腔ができることによって、本来の血流が阻害されます (図3)。 大動脈は、いろいろな臓器に血液を送るために、ところどころで枝分かれをしていますが、そうした分岐部に解離が及ぶと、偽腔が枝分かれした血管を塞ぎ、その先の臓器に血が流れにくくなってしまいます。 また、大動脈自体も、偽腔が拡大すると本来の通り道である真腔が狭められ、血が流れにくくなってしまいます。 図3 大動脈解離がもたらす危険 大動脈解離のもつ3つの病態が、それぞれ危険な状態を招きます。 【大動脈が膨れる(拡張)】 大動脈が膨れると、大動脈弁閉鎖不全症(心臓から大動脈に血液を送る弁が大動脈の拡張に伴い広がって、心臓の拡張期にきちんと閉じなくなり、血液が心臓に逆流してしまう病気)が起こることがあります。 また、声帯を動かす反回神経が拡張したコブに圧迫されることで声がかすれたり(これを「嗄声[させい]」と言います)、嚥下[えんげ]障害(ものが飲み込みにくくなる状態)が起こったりもします。 【大動脈が破れる(破裂)】 大動脈が破れ血管外に出血すると、心タンポナーデ(心臓を包んでいる膜の中に出血したために、心臓が動けなくなる状態)が起こったり、血胸(胸腔内に血が溜まった状態)が起こったりします。 大動脈が破裂すると、出血性のショックで急死する可能性が高まります。 【偽腔による圧迫で血が流れなくなる(血流障害)】 偽腔による圧迫で枝分かれした血管が塞がれ、各臓器に血液が届きにくくなると、狭心症、心筋梗塞、脳の虚血(虚血とは血が足らなくなること)、脳梗塞、腸管の虚血、腎不全、上肢の虚血、下肢の虚血、脊髄の虚血(症状としては対麻痺[ついまひ]=両側の下肢の運動麻痺)などが起こります。 大動脈解離が起こってすぐの時期は、強い血流を偽腔の薄い外膜のみで支えているために、きわめて破裂しやすい状態にあります。 上行[じょうこう]大動脈(心臓を出てすぐの、心臓に近い大動脈)で解離が起こった場合、無治療で放置すると、1時間に1%ずつ死亡率が上がり、発症して48時間(2日間)以内に約半数の人が亡くなる、と言われています。 男女ともに70代に最も多く発症すると言われていますが、40代や50代での発症も稀ではありません。 分類 大動脈解離の分類は、解離が起こった場所、あるいは発生してからの時間経過(病期)によってなされます。 大動脈の走り方 分類の説明に入る前に、前提の知識として、大動脈の走り方を説明します (図4)。 図4 大動脈は、心臓を出てすぐは上方に向かいます。 この上に向かう大動脈を「上行大動脈」と言います。 直径3センチくらいの太さがあります。 ここからは、心筋(心臓の筋肉)に血液を送る冠動脈[かんどうみゃく]が分岐しています。 上行大動脈は、やがて弓状に弧を描いてUターンし、下行[かこう]します。 この弓状の部分を「弓部[きゅうぶ]大動脈」と言います(「大動脈弓」とも言います)。 ここには上方に3本の大きな分岐(腕頭[わんとう]動脈、左総頸[ひだりそうけい]動脈、左鎖骨下[ひだりさこつか]動脈)があり、それらを通して脳や左右の腕に血液が送られています。 弓部大動脈は、下行しながら心臓の後ろ側(背中側)に回り、下半身へと向かいます。 この下行する大動脈のうち、横隔膜から上を「下行大動脈」、横隔膜から下を「腹部大動脈」と言います。 また、上行大動脈、弓部大動脈、下行大動脈を総称して「胸部大動脈」と言います。 腹部大動脈からは、肝臓や胃腸、腎臓などの腹部臓器に向かう血管が枝分かれしています。 大動脈は下行するにつれ少しずつ径を狭め、腹部大動脈では直径2センチほどの太さになっています。 腹部大動脈は、臍の高さで左右の総腸骨[そうちょうこつ]動脈に分かれます。 これらは、骨盤内の臓器や両足に血液を運ぶ役割を担っています。 スタンフォード分類とドベーキ分類 解離が起こった場所による分類には、スタンフォード(Stanford)分類とドベーキ(DeBakey)分類があります (図5)。 図5 スタンフォード分類は、予後や治療方針の決定に役立つ分類で、大動脈解離をA型とB型に分けます。 A型は上行大動脈に解離があるもの、B型は上行大動脈に解離がないものです。 A型のほとんどが緊急手術を要し、一般的に予後も不良です。 病期による分類 【急性期】 発症後、2週間以内のものです(急性大動脈解離)。 【亜急性期】 発症後、3週間目から2か月以内のものです。 【慢性期】 発症してから2か月以上経ったものです。 症状・痛み 大動脈解離の症状の一番の特徴は、突然、胸あるいは背中に杭が刺さるような激痛が走ることです。 解離が進むにつれ、痛みが胸から腹、脚など、体のいろいろなところに移動する場合があります。 このほか、解離した場所や偽腔が血流をさえぎった場所によって、さまざまな症状が現われます。 【大動脈基部(心臓から出てすぐのところ)で解離が起こる】 基部の拡張につれ大動脈弁も拡張して、血液が逆流する大動脈弁閉鎖不全症となり、呼吸困難や急性心不全(心臓の機能低下)などが起こります。 大動脈が破裂して心タンポナーデが起こると、血圧が低下し、ショックに陥ることがあります。 【偽腔が冠動脈を塞ぐ】 狭心症や心筋梗塞が起こり、胸の痛みや圧迫感が生じ、急性心不全を引き起こします。 【偽腔が弓部から出る分枝血管を塞ぐ】 脳への血流がさえぎられ、意識が消失したり、麻痺が起こったりします。 また、上肢への血流がさえぎられ、上肢の血圧に左右差が出たり、上肢に冷感が出たりします。 【偽腔が腹腔動脈や上・下腸管膜動脈を塞ぐ】 腸管への血流がさえぎられ、腹痛や腰痛、下血などが起こります。 また、肝機能障害が起こります。 【偽腔が前脊髄動脈を塞ぐ】 脊髄への血流がさえぎられ、両側の下肢に運動麻痺(対麻痺)などが出ます。 【偽腔が腎動脈を塞ぐ】 腎臓への血流がさえぎられ、腎梗塞や腎不全を起こします。 検査・診断方法 大動脈解離の検査には、胸部X線検査、心エコー(超音波)検査、造影CT検査、MRI(磁気共鳴画像)検査などがあります。 胸部X線検査 X線を当てて胸部を調べる検査です。 大動脈解離が起こっていると、大動脈陰影の急速な拡大が見られます。 また、上縦隔[じょうじゅうかく]の拡大が見られることもあります(縦隔とは、胸腔の中の左右の肺に挟まれた領域で、心臓はこの縦隔の中にあります)。 心エコー(超音波)検査 人間の耳に聞こえない高い周波数の音波(エコー)で体の中を探る検査です。 体の外から簡便に内部が探れるため、ベッドサイドで緊急に実施できるという利点があります。 解離が起こっていると、上行大動脈内に波状に動くフラップ(偽腔と真腔を隔てる血管壁)が認められる場合があります。 大動脈弁閉鎖不全症、心筋梗塞、心タンポナーデなどの合併症の有無や程度を調べるのに有用です。 造影CT検査 造影剤を体内に入れX線で断層撮影する検査です。 胸部X線検査や心エコー検査で大動脈解離が疑われた場合、この造影CT検査で最終診断を下します。 これで得られた画像には、真腔や偽腔、フラップなどが映し出されます。 また、スタンフォードA型かB型か、枝分かれした動脈が閉塞しているかどうか、解離が大動脈基部に及んでいるかどうかなど、診断と治療に必要な情報が得られます。 MRI(磁気共鳴画像)検査 磁気の力を使って臓器や血管を撮影する検査です。 さまざまな断面で鮮明な画像が得られます。 解離の範囲や状態が把握できます。 治療方法 大動脈解離の治療は、スタンフォードA型とB型で違ってきます。 上行大動脈に解離があるA型は、急死に至る合併症(心タンポナーデ、心筋梗塞、大動脈弁閉鎖不全症、急性心不全など)を生じやすいため、緊急手術が必要です。 一方、上行大動脈に解離がないB型は、大動脈が破裂していたり、血液が充分に届かず臓器に障害が起こったりしているときには緊急手術が必要ですが、それ以外は、まずは血圧を下げ、解離がそれ以上進行しないよう、また、合併症が起こらないよう管理します。 スタンフォードA型の治療 A型の解離に対する手術としては、上行大動脈への人工血管置換術、あるいは上行大動脈プラス弓部大動脈への人工血管置換術などが行なわれます。 解離し損傷した血管を人工血管 (図6)に置き換える手術です。 図6 スタンフォードB型の治療 大動脈が破裂していたり、各臓器に充分な血液が届かなくなっていたりする場合は、B型の解離であっても、下行大動脈や腹部大動脈への人工血管置換術、あるいはステントグラフト内挿術やハイブリッド治療が行なわれます。 解離の範囲が局限され、各臓器への血流が維持されている場合は、薬物治療(血圧を下げる降圧治療)を行ないながら、経過を観察します。 降圧治療は、収縮期の血圧(上の血圧)を100~120mmHg以下に維持することを目標とします。 まず使われるのは、交感神経(心臓の働きを活発にする神経)の働きを抑えるベータ遮断薬で、それだけでは充分に血圧が下がらない場合は、他の降圧剤を併用します。 手術方法3つ 大動脈解離の手術方式には、人工血管置換術、ステントグラフト内挿術、ハイブリッド治療の3つがあります。 手術では、まず胸を切り開き、心臓の動きを止め(高濃度のカリウムを含む心筋保護液を入れると、心臓が一時的に動きを止めます)、人工心肺に繋いで全身への血流を確保します。 そのうえで、解離した血管を取り除き、人工血管を縫い付けます。 大動脈基部(心臓を出てすぐの大動脈)に解離が及び、それにつれ大動脈弁の弁輪(弁の外周)が拡大している場合(大動脈弁閉鎖不全症)、弁付きの人工血管を用いて、弁も一緒に取り換えることがあります(これをベントール〔Bentall〕手術と言います。 図8)。 弁の状態が良好な場合は、弁を温存するヤクー(Yacoub)手術やデイビッド(David)手術 (図9)を行ないます。 図7 図8 図9 弓部大動脈を人工血管に取り換える手術では、脳や上肢に枝分かれしている血管も再建しなければなりません。 手術しているさなかに、脳に血液が行かなくなったりすると大変なので、高度で慎重な手術が求められます。 軽度低体温手術 心臓を止め、人工心肺で血流を確保する場合、一番問題になるのが、最も虚血に弱い脳の保護です。 脳は、摂氏37度において5分間血が行かなくなると、不可逆的な(元に戻らない)脳障害が起こるとされています。 それで、これまでは手術に際し、摂氏20度前後の超低体温にすることで脳の代謝を低下させ、虚血許容時間を延長させてきました。 しかし、この方法では脳梗塞や感染症、肺炎などのリスクが高まり、出血も止まらず、手術も1日がかりとなります。 死亡率も高い状態です。 そこで、ニューハート・ワタナベ国際病院では、超低体温ではなく、摂氏32度の軽度低体温で手術を行なっています。 これまでにこの手術による死亡例はなく、合併症も減っています。 また、縫合でも出血しない方法を採用したことで、4時間程度で手術を終えることができます。 輸血なしに手術ができるため、大量輸血が引き起こす副作用も防げます。 ただし、この軽度低体温手術には、医師に手早い完璧な技術が求められます。 これを圧縮した状態でカテーテル(細い管)の中に収納し、カテーテルを治療する部位(解離したところ)にまで運び(足の付け根などから動脈に入れて移動させます)、その場所でステントグラフトを広げて留置します (図11)。 図10 図11 人工血管置換術が「傷んだ水道管を取り換える」ようなものだとしたら、こちらは「傷んだ水道管を内側から補強する」ようなものだと言えるでしょう。 比較的新しく、1990年代初頭から欧米を中心に臨床応用されてきた技術で、高齢の患者さんなど、体力のない人に対して行なわれてきましたが、現在、下行大動脈や腹部大動脈の解離においては、このステントグラフト内挿術を行なう病院が増えてきています。 解離の範囲によっては、2つないし3つのステントグラフトを繋げてゆくこともあります。 ステントグラフト内挿術のメリット、デメリット メリットは、人工血管置換術が胸を切り開く手術であるのに対し、こちらはカテーテルを利用した傷の小さな手術である、という点です。 そのため、手術後の痛みが少なく、手術時間も入院期間も短くなります。 出血量が少ないので輸血を必要とすることも稀です。 血管の損傷、臓器虚血、血栓塞栓症などといった合併症の発生率は、人工血管置換術よりも低いレベルにあります。 人工血管置換術に比べると、人工心肺を使わずに済み、心臓を止める時間も短くできて、患者さんにとって体の負担が少ない手術になります。 デメリットは、手術中や手術後、発熱や胸水貯留などが比較的高率に発生することです。 また、退院後も、ステントグラフトの変形・破損・移動・感染などに注意が必要です。 そこにステントグラフトを留置すると、枝分かれした血管を塞いでしまうからです。 そこで、そんな場合には、人工血管によるバイパス手術(血流の迂回路を作る手術)とステントグラフトを組み合わせた治療を行なうことがあります (図12)。 これをハイブリッド治療と言います。 予後 大動脈解離の予後には、患者さんに慎重な姿勢が求められます。 破裂や臓器不全を起こす危険性の高い血管を手術で人工血管に置き換えたとしても、それ以外の血管のかなりの部分は、解離したままの状態で残っています。 また、解離を起こしやすい体質もそのままなら、解離を呼ぶ生活習慣もすぐには変えられるものではありません。 したがって、この先、解離が拡大し破裂しないよう、日々の血圧の管理などが求められます。 また、病院での定期的な経過観察も必須です。 急性期を乗り切った、と安心し、楽観するのは禁物なのです。 なお、残存している解離が拡張傾向にあると分かったら、再発症する前に治療を受けることをぜひお勧めします。 まだ何の症状も出ていないときに手術を受ける決断をするのは、なかなか大変ではありますが、発症してから緊急に行なう手術も、発症する前に充分な準備をして臨む手術も、行なうことは同じです。 であれば、より安全性の高い発症前に実施すべきでしょう。

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大動脈瘤と大動脈解離

急性 大動脈 解離 と は

2017年7月6日に舞台から転落し、亡くなった俳優の 中嶋しゅうさんの死因が 急性大動脈解離だったことが、所属事務所の発表で明らかになりました。 同じ循環器の病気である心筋梗塞や狭心症に比べて、大動脈解離の発生率は低いのですが、 加藤茶さん、 石原裕次郎さんはこの病気を発症しながら生還し、 塩屋俊さん(俳優)、 大滝詠一さん(ミュージシャン)、 立松和平さん(作家)らは残念ながら亡くなった、といった報道が記憶のどこかに残ってはいないでしょうか。 2015年5月18日には、タレントの 大木凡人さんが、同年1月に大動脈解離を発症して緊急手術を受けたことを公表しました。 「胸部に突然発生した強烈な痛みに気絶しそうになりながら119番に電話し、大がかりな手術を受けて生還した」という話に、他人ごとではないと恐ろしくなった方もおありでしょう。 急性大動脈解離は、 前兆といえる症状がほとんどない上に、発症すれば短時間のうちに死亡するリスクが高い、やっかいな病気です。 いったん発症したら、治療を受けられる施設に、できるだけ早く「生きて」到着しなければなりません。 【大動脈とは】 心臓から全身に血液を送り出す、最も太い血管 大動脈は、 酸素を多く含んだ動脈血を心臓から全身に送り出す、体内で最も太い血管です(下図)。 心臓から出る上行大動脈の付け根から分岐した冠動脈は、心臓の筋肉に血液を送ります。 首に向かって延びる上行大動脈は、鎖骨より若干下の位置で弓なりに曲がって(弓部大動脈)、下行します(下行大動脈)。 弓部大動脈から3本の血管が分岐して、頭部と両腕に血液を送ります。 下行大動脈からは胸部の臓器や背骨(胸椎)などに血液を送る血管が分岐しています。 背骨のすぐ前側を下行する大動脈は、やがて横隔膜にあいている穴を通って腹部に至り(腹部大動脈)、腹部の臓器や下肢に血液を供給します。 腹部大動脈の直径は20~25mm、胸部大動脈の直径は約25~30mmもあります。 FEATURES of THEME テーマ別特集• 激痛に襲われる「急性膵炎」や、発見しにくく5年生存率が極めて低い「膵がん」など、膵臓の病気には厄介なものが多い。 今回は、膵臓という臓器の役割や、膵臓の代表的な病気である「膵炎」「膵がん」の怖さ、早期発見のコツをまとめていく。 中高年にさしかかった男性にとって、病気が心配になる臓器の1つが「前立腺」だ。 前立腺の病気のツートップ、前立腺肥大症と前立腺がんは、いずれも中高年になると急増する。 前立腺肥大症は夜間頻尿などの尿トラブルの原因になり、前立腺がんは、進行が遅くおとなしいがんと思われているが、骨に転移しやすいという特徴があり、怖い一面もある。 今回のテーマ別特集では、前立腺の病気の症状から、具体的な治療法までを紹介していこう。 健康診断で多くの人が気にする「コレステロール」。 異常値を放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞や狭心症のリスクが高まっていく。 数値が悪くても自覚症状がないため、対策を講じない人も少なくないが、異常値を放置しておいてはいけない。 では、具体的にどのような対策を打てばいいのだろうか。 今回のテーマ別特集では、健診結果のコレステロール値の見方から、具体的な対策までを一挙に紹介していこう。

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