君がいない日々生活毎日は僕は越えられそうにないから。 他人と比べない方法|劣等感に悩まないための3つのステップ

haruka nakamuraが語る、音楽とは灯台の光 日々の生活に慈しみを

君がいない日々生活毎日は僕は越えられそうにないから

*アテンション ・腐ってない ・モブがちょっと出る ・書きたい所だけ書いたような作品だから設定がフワフワしてる ・雰囲気をなんとなく感じ取ってくれる人 大歓迎 *自殺教唆した「彼」も出るけど名前は出ない なんとなく感じ取ってもらえたならプルスウルトラ! [newpage] フェンスを越えた先に立つと、流石に足がすくんで笑った。 でも思いの他、恐怖は薄かった。 そのまま空を見ればもう鮮やかな赤色で、痛いほど眩しくて目が細まる。 「…きれいだなぁ」 足元に気をつけてフェンスに寄り掛かる。 リュックを背負っているからあまり後ろに倒れられないが、気持ちだけ。 赤色、と、オレンジ色のグラデーション。 彼の色だ。 そう思わずにはいられない。 彼を責めるつもりはない。 いや、少し、だいぶ責めてやりたい。 だから、今から行う自分の行動の先を知った時、少しでも罪悪感に蝕まれればいいと思ってしまう。 それぐらい思う事は許してほしい。 尊敬し、心から憧れた人にも会えた。 そして現実も直接教えてもらった。 頭のどこかではわかっていた、知りたくなかった現実を。 幸運だと思おう。 確かにショックで辛くて泣いたが、直接話す事が出来たのだ。 夢だけではやっていけない仕事なのだと、本人が現実を語って教えてくれた。 いいじゃないか。 諦めもつく。 爆破しながら理不尽に人権無視の言葉をただ一方的に浴びせてくる彼に言われるより。 「…お母さん、ごめんね」 でも、それ以上に、疲れちゃった。 ふっと笑みが零れる。 最期なのだ、笑って逝こう。 『来世は個性がーーー!!』 「…来世も、…個性もいらないよ」 チャンスなんかいらないダイブをするから、全て終わりにして。 [newpage] 昼休みに入った校内は賑やかだ。 給食を食べ終え、校庭に走り出す者、廊下でおしゃべりを楽しむ者、教室でテスト勉強をする者。 緑谷出久は「教室で勉強をする者」だった。 それは1人ではなく、仲の良い友人達と。 なんて事のない会話をしながら、ペンはほとんど動かない。 それでも楽しいからいいのだ。 「俺、次のテストで赤点取ったら、そのテスト廊下に貼りだされるんだ…」 「おお、先生ついに強行手段か。 それで効果が出ればいいけど」 「そんなに難しくないから、要点だけ抑えれば赤点は回避できるよ」 「緑谷は頭良いから言えるんだよ!知ってるだろ俺の頭!歴史上の人物とりあえず全部「ダー〇ィン」って書いたの誰だよ!」 「お前だよ!」 動物が好きな彼はよく教育番組を見ているのを緑谷は知っている。 華麗なツッコミを見せるやり取りにお腹が痛くなるほど笑った。 友達がいるというのは素敵なことだ。 時々面倒だと思える学校も、彼らに会いたい話したいと思えば自然と向かえる。 学校は社会性と我慢を覚える場所だと誰かが言っていた気がする。 勉強はその次ぐらいだと。 ならば友達という存在はそれら全てを教えてくれる存在だと思う。 たとえ気心知れた友人でも嫌な面の一つや二つある。 だがそれをどこまで理解し、妥協し、受け入れ付き合い、良い関係を作っていけるか。 我慢と社交性だ。 これも勉強。 …だからと言って、そんな事を考えながら友人と付き合う訳もなく。 「しゃあねえな、次は違う名前で埋めるか」 「ぜってぇ当たんねぇよ!つーか次のテスト理科だし」 「…俺、電気を通すだがの回路をホッカイロって書いたことある」 「あ、でもホッカイロって理科の授業ではいい教材だよね。 あれって中の鉄が酸素に触れる事で酸化して発熱するって」 「止めろインテリ笑う所だよ!」 笑うと教室にいた他の生徒達も何が楽しいのかと集まってくる。 男子も女子も、思い思いに話しては笑う。 緑谷も。 それはチャイムが鳴って教科担当が入ってくるまで続いた。 緑谷出久。 半年前、彼は飛び降り自殺を試み、「失敗」した。 なぜ飛び降りたのかは、「覚えていない」。 緑谷には、記憶がなかった。 記憶がないと言っても全てではなく一部だった。 ただ生活を送るのは全く問題ない。 自分の名前は言えるし生年月日も言える。 親の名前も、自分の住所も、なんなら近所で飼われている犬の名前だって分かる。 もちろん、自分が「無個性」であるという事も。 では何の記憶がないのか。 それはある意味幸福で残酷な、心の傷。 「…じゃあ、緑谷。 問3の答えを前に出て書いてくれるか」 「はい」 指名され席を立ち、黒板前に向かう。 数学の授業だ。 チョークを握り、どうしてその答えになるのかと途中計算も書いていく。 教室は静かで、チョークの音だけが心地よく響く。 皆食後の、昼過ぎの眠気と戦っている。 計算が終わり、最後に答えを書く。 これで終わりとチョークに力を込める…が。 「っあ」 ガキュ、と。 チョークが指から抜け、擦れた音と爪で引いた音が重なる。 異質な音に教室の空気がふっと起き上がる。 チョークは指から抜け落ち、床に落ちて砕けた。 ぱきゃん、と。 緑谷は右手を胸に押し付け、すみませんっと教師に謝罪した。 その場にしゃがんで砕けたチョークを集めると、教師も緑谷の前にしゃがんで一緒に集めてくれた。 「すみません、先生…」 「いやこれぐらい。 でも大丈夫か?保健室行くか?」 「あ、いえ、…これぐらい」 へへ、と笑って見せる。 「…リハビリは、してるんですけど、やっぱり突然ふっと力が抜けちゃって」 「そうか…それは仕方ないもんな。 他に何か症状が出たら言うんだぞ」 「はい…すみません…」 座っていいぞと静かに言われ、緑谷は自分の席に戻った。 代わりに答えを書くよう指名された男子の悲鳴が聞こえた気がしたが、意識は机に乗せた右手にいっていた。 握って、開いて、握って、開いて。 ペンを持ち、ノートに名前を書く。 思ったような力で書けた。 自分の意思と関係なく力が抜けるのは、本当にわからない現象だ。 その瞬間だけ自分のモノではなくなるようだ。 飛び降りた時の後遺症だった。 身体の力が時折急に抜けてしまう。 落ちた時の衝撃で神経が傷付いたのが原因らしい。 リハビリはしているが、これ以上は良くならないかもしれないと言われている。 隣の席の子が「大丈夫?」と聞いてくれた。 緑谷は「ありがとう、本当に大丈夫だよ」と笑って返した。 本当に、緑谷はさほど気にしていなかった。 自分の事なのに、少し他人事のような気持ちなぐらいだ。 記憶がないからだ。 そう思っていた。 [newpage] 学校が終わり、帰宅になる。 高校進学の為、居残り勉強する者もいるからすぐに人がいなくなる事はない。 緑谷はまだどこに進学するか決めかねていた。 もう決めなくてはいけないのに、どうしたものかと決められずにいた。 だから今日も、友人達に別れを告げて校舎を1人後にした。 最初の頃は緑谷の身体を気にした母が送り迎えをしてくれていたが、自分のために時間を割いてくれる母に申し訳なくて、「リハビリになるから歩くよ」と言って止めてもらった。 実際これは効果があり、最初はぎこちなかった歩き方も今ではスムーズだ。 それでも、力が抜けてかくんとつまづく事はある。 …飛び降りてこれなら、奇跡だ。 若いから回復が早いねと笑った医者の顔を思い出す。 …死にたくて飛び降りたはずなのに、生きて、普通に生活してる。 なぜ死にたかったのかわからない。 いや、わかってる。 それは「知っている」という意味で。 自分の事だと受け止められない。 なぜなら自分は「緑谷出久」であって「緑谷出久」ではないから。 「…っわ!」 また。 右足の力が抜けて、右に倒れてしまった。 コンクリートで出来た道が痛い。 せめて倒れた先が芝生ならよかったのに。 周りを見渡して、邪魔にならないように道の端に寄り、右足を両手で揉む。 ふくらはぎから太もも、足の付け根。 慣れた手つきでこなす。 「うーん、やっぱりちょっと困るよなあ」 人通りの少ない道を選んでいたから自分の他に周りに人はいない。 車も少なく静かだ。 学校にいる時もたまに起こるが、隣に人がいたらぶつかってしまう。 いつ起こるかわからないから、そういう意味で周りの人を巻き込んでしまうのは本当に申し訳なくて恥ずかしい。 買い物中に転ぶものなら周りの視線が痛い。 杖でもついて歩くのも最近では検討している。 でも頻繁に起こる訳でもないから踏ん切りがつかない。 足を折って膝を立ててみる。 大丈夫そうだ。 力を入れて立ち上がろうとする。 …その時、急に目の前が暗くなった。 誰かが目の前に立ったのだ。 磨かれた黒い靴が視界に入る。 見上げようとして、 「…んひゃっぐう!?」 後ろ襟をものすごい力と勢いで引き上げられた。 首が締まり、息が詰まった。 なんだなんだ!知らぬ力に助けられ立ち上がるとふらついた。 それを右腕を荒く掴まれて止められる。 これもまたものすごい力だ。 痛いくらいで声が漏れた。 一体何事だ。 顔を上げて何者かと姿を捉える。 …不良だ。 それしか思いつく言葉がなかった。 誰かは知らないが、不良に助けられた。 いや助けたのではなく、カツアゲに最適な人間だと思われたのか。 だからか?だからか?人を射殺さんばかりの目つきで自分を睨みつけてくる目の前の少年は、同世代に見えた。 「…」 「…」 「…おい」 「っひゃい」 喋った。 さすがにビビった。 間抜けな声が出た。 どうしよう。 本当にカツアゲなら素直に渡してしまった方が安全だろうか。 でもそんな、こんな時代でカツアゲ?やっている人っているんだな…と言うか腕を離してほしい。 目の前の少年は緑谷の目をじっと見たまま動かない。 緑谷も、目が合ってしまった以上逸らすことが出来ない。 腕はそのまま。 せめて何が言ってくれないとどうしようもない。 でも何か言いそうな雰囲気もないし、むしろこちらから話せと言うようなオーラを出してきていると感じるのは気のせいだろうか。 それなら仕方がない。 意を決して口を開く。 「……あの、腕、痛いんで、離してくれませんか」 「……」 少年は一瞬目を細めたが、ゆっくりと腕を離してくれた。 よかった、聞いてくれた。 解放された腕を左手で撫でた。 そして改めて少年を見る。 クリーム色した短い髪形と、鋭い目つき。 黒い制服は、折寺中学のものだ。 「前の自分」が通っていた学校だ。 それで納得した。 ここで自分を捕まえた意味。 おそらく彼は自分の同級生で、クラスメートで、カツアゲじゃない用があるんだ。 これはこれで、困る。 少年を見れば、何か言いたそうな目をしていた。 知っているんだろう、通じない事を。 だから言えないんだ。 彼も、「加害者」か。 「…ごめんね。 僕、君の事、知らないから」 この言葉を発したのは久々だった。 「最初の頃」はよく言ったが、最近は会いに来る人がいなかったから。 言葉は正解した。 彼は目を見開き、両手を強く握りしめた。 その目に写った感情は、今までの人と違って濃いものだったが、どんなものかはわからなかった。 ごめんね。 もう1度告げて、緑谷は少年の前から離れ歩き出す。 追われはしなかった。 緑谷は、「前の学校」の記憶がなかった。 同級生たち、担任、教師たち。 調べた結果、原因はイジメによるものだと推測された。 自殺を試みた理由も同様のものだと。 『彼も、「僕」をイジメた人』 しかしなぜ、彼の大好きだったヒーロー「オールマイト」も忘れているのかは、母もわからなかった。 [newpage] 「なんで会いに来ると思う?」 「許されたいんじゃない?それか自分は関係なかったよね?って言いたいか」 「そうだよね」 「…許すの?」 「え?僕?許すもなにも、もうどうでもいいもん」 「じゃあいいや」 「でも彼はまた来ると思うよ」 「なんで」 「なんでも」 「彼が一番許されたいの?」 「ちょっと違うかな」 「どうしたらいいの?」 「どうもしなくていいよ」 「なんか適当だよねぇ…彼すごい目付きだったよ、僕本当にカツアゲかと…」 「あははは!それはすごくわかる!」 「…もしかして実際に…」 「それは黙秘します」 「え〜…それってやっぱり…」 「あはは、されてないよ。 でもしそうだよね」 「ほんとかなぁ…次に会って僕大丈夫かな…」 「大丈夫だって。 本当に君の思うように行動していいからさ。 だって、」 『今の僕は、君だからさ』 [newpage] 次の週。 緑谷は進路指導室にいた。 進学する高校をどうするかと、担任に呼び出された。 緑谷も悩んでいた。 自分の事情が事情だ。 母は最悪、高校は通信制でも構わないと言ってくれている。 担任はそれを理解してくれる。 だが緑谷の成績ならどこの高校でも行けると力説する。 事情もわかるが、将来の為に名門高に進学するのも良いと。 例えば、国立「雄英高等学校」など。 実際緑谷の成績なら圏内だった。 …個性は別として。 普通科を勧められる。 確かに雄英の普通科なら個性を使う授業はないし、「雄英卒業」と言うだけでも就職にはとても有利だ。 でも、 「…考えておきます」 来週には決めてくれと、今日も決まらずに終わった。 「前の自分」は雄英志望だった。 何科志望だったのかは知らない。 無個性だから普通科かサポート化、もしかして経営化? それなら雄英を志望校にすればいいだけ、なのに、言えない。 将来の夢がない。 だからかもしれない。 『前の僕は、将来の夢があったのかな』 担任にも「将来の夢」を聞かれた。 でも緑谷には将来の夢がない。 なにがしたい、なにになりた。 なにもない。 この年で将来を決める人もなかなかいないと思うが、漠然としたものもないのは考えていないのと同じ、かもしれない。 緑谷が日々考えているもの。 それは「終わり時」。 残っていた同級生達に別れを告げて下校する。 居残り勉強、志望校合格を目指して。 その中に仲間入り出来る日はいつになるのだろうか。 季節はもう秋を過ぎる頃だ。 確かにそろそろ願書も準備する時期だ。 授業でも願書の書き方の練習が始まった。 枯葉が道を埋めてくる季節。 数ヶ月しか歩いていないこの道ももうすぐ歩かなくなるのかと思うと少し寂しい。 最近は同級生達と帰る時間が合わなくて1人が多いが、友達と帰る時間は学校で過ごす時間とはまた違う。 それも、あと何回出来るのか。 こんな事を思うと、いつ「終わればいい」のかと悩んでしまう。 大切な物が増えると増えただけ、惜しくて、手放せなくなる。 だから、「前の自分」は…。 「うっ、わ!」 右に倒れる。 ああまたかとため息。 公園の入口だった。 緑谷は左足で立ち上がり、右足を引きずりながら歩いて近くのベンチに座った。 息をつくと白くなって冬を感じた。 寒いとダメなのかな、右足の付け根を揉む。 夕方の公園は誰もいない。 季節のせいで日が暮れるのが早く、まだ5時なのに辺りはもう暗かった。 「あーもー、頑張れー」 マッサージしながら足を応援する。 端から見ればなんとも可哀想な姿かもしれない。 もう少しで家だからーと、膝を折って伸ばす。 微妙だ。 これではまた転んでしまう。 足の力を抜いて、少し待つことにした。 こういう時は休ませた方がいい。 緑谷はベンチの背もたれに寄りかかった。 リュックが邪魔をして、あまり倒れた感じはしないが、気持ちだけ。 …あれ、なんか前にもこんな事思ったな。 思い出そうと首を動かした。 なんとなく、公園の入口を見た。 電柱のない入口は暗かったが、ぼんやりと、いつの間にか人影があった。 クリーム色の髪、鋭い目…は見開いてた。 首にマフラーと、黒い制服。 見つかった。 そういう気持ちだ。 バッチリと目が合ってしまい、逆に目が逸らせない。 蛇に睨まれたカエルか自分は。 いつかの少年は一瞬固まったように見えたが、すぐにこちらに向かって歩いてきた。 逃げられない状況に緑谷は諦めて少年を待った。 少年は緑谷の1mほど手前で止まった。 ポケットに手を入れて、背筋を伸ばして、でもズボンは腰履き。 ああ不良、そう思わずにはいられない。 「…こんばんは」 とりあえず挨拶をしてみたが、睨み返された。 少年の視線が緑谷の足に向いた気がした。 それに緑谷は一言「休憩中」とだけ言った。 「…僕に、何か用かな」 「……」 少年の目が静かに閉じた。 どうしたんだろう、そう思った瞬間だった。 …見えなかった。 少年は緑谷の目の前に、自分の身体のすぐ横で背もたれを殴っていた。 プラスチック製のそれの割れていく音が聞こえる。 すぐ目の前の赤い目は鋭く吊り上がっていたが、ぐらぐら揺れていた。 すっと身体は冷えたが、なぜか恐怖ではなかった。 頭が冷静になっていく。 「…っんでだ…」 「…なに?」 「っ…!てめぇのせいだぞっ全部!!」 力の入った拳がベンチを押し、わずかに浮いた。 緑谷は後ろへ、少年は前へ。 顔の距離が近づく。 「全部てめぇのせいだぞ…おい!てめぇがあんな事するから、わかってんのか!なんであんな事をした!!なんでマジで飛んだ!!本気で来世に個性が宿るって思ったのか!!ある訳ねぇだろ来世なんて!!個性なんてお前に発現する訳ねぇだろ!!結局今のてめぇなんか飛び損じゃねぇか!!あんな…あんな事しても死ねてねぇし!!生きてて!!余計惨めな人生を送ってるだけじゃねぇかよ!!なんだその姿は!!っ…お前のせいで!!なんで俺がこんな思いしないといけねぇんだよ!!誰も俺を責めない、ばばあぐらいだったよ俺を責めたのは!!でも何もなかった!!警察に事情も聞かれた!!もちろん学校からもな!!でもそれだけだった!!何もなかったお咎めなしだ!!お前だろ!!手回ししたのはお前だろ!!俺を馬鹿にしてるのか!?何がしたかったんだよてめぇは!!飛び降りたのは俺に見せ付けたかったからじゃねぇのか!!俺を潰す為にやったんじゃねぇのかよ!!しょせん何も出来ねえ木偶の坊が、俺に言われるがままに自殺未遂!?笑わせんなよクソが!!やるなら最後までやれよ!!生きてんなら文句の一つや二つ言いに来いよ!!なんでだ!!なんでお前は…!!」 それは悲鳴にしか聞こえなかった。 怒鳴っているのに、責め立ててきているのに、怒りに混じって恐怖と困惑が見えた。 叫ぶ少年のその顔は、まるで。 ー救けを求めるような… …でも。 「僕は君を救けない」 目を見てハッキリ言うと、殴られた。 ものすごい力で殴られ、ベンチから地面に吹っ飛ばされた。 左頬が熱い。 切れたのか口の中が血の味がした。 見上げると、少年は息荒く顔を赤くし、殴った拳を震わせていた。 これが15歳のする顔か。 ぐちゃぐちゃの感情が全て顔に出ているような、抑えきれない衝動が、泣きそうだ。 緑谷はふらつきながらも立ち上がり、少年に睨み返した。 気に食わなかったのか、怒鳴られた。 「そんな目で俺を見るんじゃねえ!!」 「じゃあどんな目で見ればいいの!?泣けばいいの?悲しめばいいの?それとも君を憐れむ目をすればいいの!?」 「ふざけんなよ!んな目で見てみろ…殺すぞ!!」 「ああいいね殺してくれるの?もともと僕は死にたかったみたいだし。 それに今の君の言葉から、自殺には君が関わってるみたいだし。 ありがたいよ、もう1度飛び降りる手間が省けるからね!!」 どれに反応したのか、少年ははっとしたように目を開いて、口をつむんで、固まった。 緑谷は一瞬に上がった気持ちを抑える為、大きく息をついてから口を開いた。 「…僕は君を、責めない。 君は責められたいかもしれないけど、僕はしない」 「…誰が責められたいって…?笑わせんなよ!!なんで俺がてめぇなんぞに責められなきゃいけねえんだ!!あっ!?」 少年が吠える。 「誰も自分を責めない」と言っておいて、緑谷に責められるのは納得がいかないと言うのか。 彼は随分と自分を見下しているようだ。 『彼と「僕」の関係って、どんなのだったんだろう』 悲鳴のような叫びから感じ取れた、罪悪感。 自分の言葉で人を殺したという恐怖と焦り。 目の前の少年は、間違いなく責められたいのだ。 責められて、「言い返したい」んだ。 緑谷の言葉を自分の正論でぶつけて、自分に非はないと、落ち度はないと、確認して安心したいんだ。 そうすることで自分を守りたいのだ。 「許し」は求めてない。 「…前にも言ったけど、僕は君を知らないんだ」 「記憶がねえって逃げるのか!?」 「記憶がないのは仕方がないよ、本当だし。 君の言葉も、自分の事だと思わないぐらい他人事の気持ちなんだ。 でも思い出そうとも思わない」 「んでだよ…!」 「自殺しろって言った人を思い出したいと思う?」 「っ……忘れたのはてめぇで!自殺したのもてめぇだろ!!俺は関係ねぇ!!」 「ならいいじゃん。 君は悪くないんでしょ?だったらなんで僕の前に現れるの?」 「っ…それは…!」 「僕は今、自分を惨めだとは思ってない。 こんなんだけど、毎日楽しいもん。 今惨めだと思ってるのは」 「っ黙れ…!」 「君じゃないの?」 今度は右の頬を殴られた。 一瞬遠くなった意識を引き上げたのは、少年の声だった。 「殺してやる!!」と。 胸ぐらを掴み上げられ、息が詰まる。 「そんなに死にたかったとは知らなかったぜ…だったらお望み通り殺してやるよ!!」 「…僕は、君に殺されたい訳じゃない…」 「死にたいんだろ!!死にたかったから飛び降りたんだろ!!」 「死にたかったと思うけど…殺されたいんじゃないから」 「同じだろ!!結局は死ぬんだぞ!!」 「結果はね。 でも下すのは君じゃない」 「俺に言われて死のうとしたてめぇが何を言う!!」 「僕は君の知ってる僕じゃ…」 「てめぇはデクだろ!!」 「デクは死んだ!!」 「君のデクは死んだ!!君は言葉で人を殺したんだ!!君の知る「緑谷出久」はもういないんだよ!!」 間違いなくあの日、死を選んだ。 でも死ねなかった。 でも死んだつもりだ。 だから「僕」を作った。 無意識に捨てきれない「生」に縋り、他にあったはずの「人生」を夢見て。 平等じゃない世界でも、幸せになる為に。 「あ、おかえりなさい。 彼に色々言われたよね?放っておいていいよ。 それが一番効くからさ。 それより君はいつ飛び降りるの?」.

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自分の母国語で話さないということ

君がいない日々生活毎日は僕は越えられそうにないから

曲名:セイカツ 歌:おさるのうた おさるのうたさんのYOUTUBEに動画が上がっていました。 TikTokで流行っていた曲のフルバージョンで「セイカツ」というタイトルの曲でした。 声がすっっごいいいですね。 ハスキーで揺れがあってちょっと不安定な感じもすごくいいなと思いました。 TikTokでカップルの日常の動画に使われててとてもエモい 1y3m。 もうすぐ卒業。 友達としても恋人としてもずっと一緒にいたから、これから毎日会わなくなると思うと寂しいです。 一枚だけ付き合ってない時の写真があります。 こちらの動画にたくさんのいいねがついています。 写真のぼかしなどがプロっぽいものすっごいいいですね。 日常が想像できるような、セイカツが切り取られたかのような写真に、おさるのうたさんの声と歌がぴったり合っていて、映画エンディングのようです。 TikTokの動画のコメント欄では、「なんだこのエモいカップル」「エモすぎて映画始まるかと思いました」「1枚1枚映画のワンシーンみたいで素敵」など動画を絶賛するコメントがたくさんありました。 とにかく写真が素敵すぎる!ということでスマホなのかちゃんとしたカメラなのか?と思い、投稿者さんのインスタへ飛んでみました。 おさるのうたさんの「セイカツ」の歌詞 おさるのうたさんの「セイカツ」の歌詞はYOUTUBE動画の概要欄に貼ってありました。 「セイカツ」 君がいない日々、生活、毎日は 僕は超えられそうにないから 何をするにも途切れ途切れ そんな生活の中で巡り会えた 行くたび立ち止まり行き止まり そんな事もなんか愛おしくて 交差する感情進む時間 孤独に潰されそうな日は多く 何を選びどこに進もう 募る期待と不安な僕 それでもどうか 食らいついて 君がいない日々生活毎日は 僕は超えられそうにないから きっといつかの日を思い後悔して また嫌になってしまうから 当たり前は偶然の連鎖で 毎日は生まれ変わりつつあって 何を見出しどこに行こう まだ幼い僕らだから それでもどうか 縋り付いて 君がいない日々生活毎日は 僕は進めそうにないから きっといつかの日を悔み俯いて またダメになってしまうから 君のいない日々生活毎日は 僕は超えられそうにないから きっといつかの日を思い後悔して また嫌にになってしまうから 君がいない日々生活毎日は 僕は進めそうにないから きっといつかの日を悔み俯いて またダメになってしまうから どうか素晴らしい日に.

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自分の母国語で話さないということ

君がいない日々生活毎日は僕は越えられそうにないから

1週間がやっと終わりました。 そう、まだ木曜日なのですが僕のドイツ語コースは木曜日なのでちょうど今一息ついているところなんです。 最近授業内容が試験に向けてのものが多くて、毎日フル回転で頭を回らせているためか家に帰りつくころには結構、疲れているんですよね。 意識が半睡しているような状態で、間違ってしまうと深い眠りに落ちてしまうような感じなんです。 宿題や予習は電車を待つ間と、電車の中で。 家に帰って来てからは、作文とリスニングをしてます。 単語力がないのが悩みなのですが、テストまであと2週間ほど。 単語帳を作ったりして覚えているよりかは教科書やリスニングなのでわからない意味の単語を推測してそれに対応していくのが一番かなと思ってます。 そんな集中的に勉強しているためか、ドイツ語の脳みそが最近一気に活性化されたように思うんですよね。 語学学習をしている人は経験があると思うのですが、レベルの見えない壁みたいなのがあるんですよね。 あるときはどんなに勉強しても自分の学力が伸びてないように感じて、まるで同じレベルにずっといる、または後退しているように感じる。 それが見えない壁を越えた時。 残念ながらその次にもまた壁が、そして次が来るんですけどね。 この壁を乗り越えるとちょっと今まで見えた景色も違ってくるから面白い。 これが語学学習の醍醐味の一つだと僕は思っています。 今はドイツ語を勉強しているわけで、家の中でも最近はドイツ語でしゃべることが多くなりました。 けど面白いことに僕がドイツ語でしゃべってユリ君が英語で返すみたいなことが多々見られます。 ユリ君のおかげで僕は毎日のようにドイツ語を喋ることもできるし、毎日書く作文の添削もしてもらえます。 本当に語学学習としては有難い環境。 ユリ君と一緒に住み始めてからもうすぐで1年。 時に意見のぶつかり合いはありますが、ケンカは一度もないんですよね。 特にユリ君とというわけでもこれはないのですが。 ミニの時も僕たちはケンカしたことはなかったので。 けど、僕たちの関係って面白いなって思います。 僕の母国語でもない、ユリ君の母国語でもない言葉でお互いにしゃべってそこからお互いを理解していっているので。 ミニの時とはまた少し違うんですよね。 ミニちゃんは英語が母国語なので、自分の心にある感情を母国語にすんなりと乗せればいいわけで。 ただ僕たちの場合は自分の知っている英語の単語の中で自分の感情と近いものの言葉を選んでそれで気持ちを伝えることになる。 そして勿論、そこには少しの誤差がでる。 その誤差が出ていくのは怖いなって昔は思っていたんですよね。 だからイギリスで付き合うなら英語のネイティブのほうがいいなって。 行間を読むというのでしょうか。 そしてお互いの母国語ではないからこそ、相手がわかりやすく理解するにはどのような説明が一番かを考えているのも素敵だなって思えます。 ユリ君には僕の価値観は持っていないのは当たり前、じゃ違った価値観の人にどのように、どの言葉を使って、どんなジェスチャーで、どんなボディーランゲッジで伝えるのが私費版いいかを日々考えて生活しているように思います。 だから、ケンカもないのかなって。 だから僕は思うんです。 同じ国で育っていても、自分の価値観と比べれば他人は誰でも外国人のようなものだって。 まだまだ僕とユリ君の関係は謎に満ちていて、お互いに色々なものを心の奥に秘めているので、これからの関係が楽しみでなりません。

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